Traktor Pro 4 フレーズミキシングをマスターしよう

2024.08.20

DJがフレーズミキシングを行うときは、各トラックの曲構成に注意をしつつ、各トラックのアレンジをガイドにしながら自然なサウンドになるようブレンドします。2つのトラックは音楽的に整合性のある方法でミックスされ、1つの曲から次の曲へのシームレスで論理的なトランジションを可能にします。

このブログでは、フレーズミキシングとは何か、そしてTraktor Pro 4を使ったフレーズミキシングの方法をご紹介します。

フレーズとは

フレーズとは音楽の短いセクションのことで8小節から16小節の長さが一般的ですが、フレーズが長くなったり短くなったりすることもあります。トラックは、イントロ、ヴァース、コーラス、ブレイクダウン、ブリッジ、アウトロなど、さまざまなフレーズで構成されています。エレクトロニック・ミュージックには、ビルドアップ/ブレイクダウンやドロップ・セクションといった他のセクションも含まれます。

2つのトラック間の流れを最適化するために、DJは頻繁に1つのトラックと次のトラックをフレーズをマッチさせます。これは、各セクションのビートを数え、他のトラックのフレーズとどのように合わせるのがベストかを考えることも含みます。

フレーズを理解するためには、音楽のカウントの仕方を知っておくことが重要です。曲が4分の4拍子であれば、1小節に4拍があることを意味し、各フレーズは4小節で数えることができます。

以下がトラックによくあるフレーズの例です:

  • イントロ:パーカッションをフィーチャーすることが多い曲の冒頭部分。
  • ヴァース:メロディックなパートが追加され、曲の主となるアイデアが出てくる部分。
  • ブレイクダウン/ビルドアップ:トラックから一旦いくつかのパートを取り除き、その後徐々にパートを追加しサビやドロップに向かって激しさを増し、期待感を持たせるセクション。ポップ・ミュージックのプレ・コーラスに似ている。
  • コーラス/ドロップ:トラックの中で最もエネルギーがあり、すべてのパートが演奏するセクション。
  • アウトロ: トラックが終わりに近づくにつれ、各パートや楽器が取り除かれる – ダンス・ミュージックでは、このセクションは通常パーカッシブになる。

曲のフレーズを理解するために、通して聴いて小節数を数えてみてください。トラックのどのセクションがどのフレーズなのかを確認し、各フレーズが何小節になるのかをメモしておきましょう。

次に、トラックをTraktorのデッキにロードし、キュー・ポイントを使って各フレーズの開始点をマークします。

フレーズミキシングとは

フレーズミキシングとは、各トラックの構成を利用して、スムーズなサウンドでプロフェッショナルなミックスを作る技術です。また、ミックスのガイドとしてフレーズを使い、ある曲から次の曲へ流れるようにミックスすることです。

例えば、ある曲が流れるとサビが終わります。コーラスの終わりは、次のトラックのヴァースをミックスする絶好の転換点です。このようにサビからヴァースへと素早くミックスするスタイルは、ミックスのエネルギーを維持するのに役立ちます。

Track 1: Sara Simms ft. JEI – “Finally (Joee Cons Phuture Remix)” (Simmetry Sounds)

Track 2: Calvin Pepper – “In My Bed” (Simmetry Sounds)

フレーズミキシングは、Traktor Pro 4のステムセパレーションを使って、長めのミックスやライブ・リミックスも作成できます。1つのトラックのボーカル・ヴァースと2つ目のトラックのインストゥルメンタル・ヴァース・セクションをミックスして、ユニークで音楽的なブレンドを作りましょう。

フレーズミキシングの使い方

フレーズミキシングは、とらえどころのないアートのように思えるかもしれませんが、シンプルなステップに分解することで、プロセスを簡単にすることができます。Traktor Pro 4を使って、以下の手順に従ってください。

1. トラックを準備する

まず、Traktor Pro 4のプレイリストで、上手くミックスが出来そうなトラックを10~20曲選びます。BPMが似ていて、ハーモニーの相性が良い曲を選びましょう。

各トラックのビートグリッドを設定することから始めます。グリッドの調整が必要な場合やトラックのテンポが変わる場合は、トラックにグリッドマーカーを置き、グリッドを調整しながら慎重にビートグリッドを設定します。

曲の中でテンポが変わる場合は、Traktor Pro 4のフレキシブル・ビートグリッドを使って、それに合わせてビートグリッドを設定します。トラックをミックスしたい場所で、同じテンポ範囲にあることを確認してください。最後に、2つのトラックのテンポをビートマッチまたはシンクします。

2. フレーズを聞き、キュー・ポイントを設定する

TraktorでトラックをDeck Aに、別のトラックをDeck Bにロードします。それぞれのトラックの中で、次のトラックに移行するのに適したフレーズを特定する必要があります。ミックスで使いたいフレーズの最初と最後をキューポイントでマークしましょう。

3. ビートマッチ

次に、設定したキューポイントを使って、2つのトラックをミックスしてみましょう。トラックをビートマッチまたはシンクし、フレーズをミックスイン、ミックスアウトのポイントの目安にして、いろいろなミックスを試してみます。多くのトラックを試すことで、相性の良いトラックを見つけることが出来るでしょう。

4. トランジションを計画する

Deck Bのトラックで、フレーズの頭にキューポイントを作ります。このキューポイントは、このトラックをミックスに入れたいポイントに配置します。Deck Aのトラックで、ミックスからトランジションアウトする予定の場所にキューポイントを設定し、このトラックをカットまたはフェードアウトします。これは、アウトロの始まりや、最初のコーラスやドロップの終わり、もしくは曲の中でミックスアウトするのが音楽的に理にかなっているポイントでも構いません。

この曲がトランジション・アウトに設定されたキューポイントに達したら、フレーズの開始点に設定されたキューポイントから、素早くDeck BのPlayを押します。Deck Bをミックスに入れます。これでトラックがフレーズ同士がシンクされます。

Track 1: Calvin Pepper – “Follow Me” (Simmetry Sounds)

Track 2: Calvin Pepper – “Shake For Me” (Simmetry Sounds)

5. トランジションの調整

あるトラックから次のトラックに移行するために、最適なトランジションのタイプを決定する必要があります。選択したフレーズによっては、あるタイプのトランジションが、他のタイプよりも効果的な場合があります。例えば、コーラスの終わりからヴァースの始まりに移行する場合、フェードよりもカットの方が効果的かもしれません。

一方、ハウスミュージックをミックスしていて、ある曲のアウトロから別の曲の最初のバースへトランジションする場合は、フェードトランジションの方が適しているかもしれません。

2つのトラック間のトランジションに正解・不正解はなく、適切なトランジション・スタイルを選択するのはアートのようなものです。ミックスするジャンルによって、トランジションの種類を決めることができます。

フレーズミキシングでステムを使う

Traktor Pro 4の新しいステムセパレーション機能を使用している場合、トラックモードでもステムモードでも、同じフレーズミキシングの原則が使えます。ステムの場合、ステムのキューポイントを使用してフレーズをマークし、セットの前にフレーズミキシングの計画を立てる必要があります。事前の準備で、シームレスなミックスを作ることができます。

Traktor Pro 4のステムセパレーション機能により、フレーズミキシングを使った新しい世界と、よりクリエイティブな可能性が広がります。トラックのボーカルやインストゥルメント、ドラムを別のトラックのビートに重ねて、その場でリミックスを作ることができます。事前にフレーズにキューポイントを設定しておけば、セット中に即興で革新的なオンリーワンのミックスを演奏することができます。

Track 1: Sophia Sigma – “Machine Hearts” (Simmetry Sounds)

Track 2: Adam James – “As We Fall” (Simmetry Sounds)

フレーズミックスを始めよう

フレーズミックスのやり方がわかったら、次はブレンドしたいトラックをいくつか選んで、フレーズミックスの下準備を始めましょう!少し練習すれば、フレーズミックスをDJセットに取り入れることができ、スムーズでプロフェッショナルなサウンドのミックスを作ることができます。Traktor Pro 4を手に入れるか、Traktorをアップグレードして、フレーズミキシングを使ったより良いセット作りを始めましょう。

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